移住と子育てParenting style

トンネルの向こうは

きっかけをくれた街

竹田市

すれ違う人たちと
あいさつを交わす
おだやかな城下町
世界中の旅人が訪れる
駅前の古民家からは
「おかえりなさい」の声
人と人との繋がりは
いつも心を満たしてくれる

竹田城下町には東西南北どこからでもトンネルを抜けなければたどり着くことができず、「レンコン町」という異名を持つほど。

地域と繋がる暮らしを求めて

豊富な含有量を誇る炭酸泉や、名水百選にも選ばれた竹田湧水群、くじゅう連山や祖母山などの雄大な山々を有する竹田市。その中心部にある城下町で、築80年超の古民家をリノベーションして、ゲストハウスをオープンしたのが堀場貴雄さんとさくらさん夫妻だ。堀場夫妻が竹田市へ移住し、宿のオーナーになるまでには、いくつかのきっかけがあった。

「小さな町なので人と人との距離が近く、地域との交流が盛ん。どこにいても知り合いがいるという環境が居心地いい」と話すさくらさん。

旅行先の沖縄で出会った貴雄さんと結婚後、夫の地元である千葉県で生活をしていたさくらさん。
しかし、移り住んだのが東日本大震災後ということもあり、都市での生活や、食のこと、子育てのことなどに不安を抱えていたさくらさんは、小学校教諭として働いていたときに知った〝地域の中で子どもが育っていくことの良さ〟を思い出し、「地域コミュニティに溶け込んだ暮らしをしたい、そして、自然が身近な場所で子育てしたい」と生活の舞台を変えることを考えはじめた。移住先を探していく中で、偶然見つけた「竹田市地域おこし協力隊」の制度。これが堀場夫妻にとって、大きなきっかけとなった。

高台にある『広瀬神社』から一望できるの竹田城下町。文化と歴史が息づくコンパクトな街。

憧れのゲストハウスオーナーへ

「桜が満開の岡城から見た夕日が、すごく綺麗だったこと。そして、高台にある広瀬神社から街を見下ろしたときに、城下町の中で暮らす人たちの営みが見えて、自分たちの暮らしが想像できたことが、すごく良かったんです」。旅好きだった二人の夢は「ゲストハウスを開業すること」。初めて訪れた竹田市で目にした光景に「ここなら理想の宿ができる」と直感したそうだ。

『たけた駅前ホステルcue』がオープンして以来、地域にはヨーロッパやアジアなど海外から訪れる旅人が増えた。

2014年、夫婦共に竹田市の地域おこし協力隊に任命され、ゲストハウス開業に向けての準備をスタート。任期中に出会えた同じ志を持つ仲間たちや、地域の方々からの後押しを受けながら、2017年、英語で「きっかけ」を意味する『cue』と名付けたゲストハウスが誕生した。

宿の1階にはゲストが自由に使えるラウンジスペース。夜は宿泊者同士が交流したり、オリジナルグッズやお土産品の販売も。

子どもが〝地域の宝〟に

オープン以来、国内だけでなく、海外からも多くの旅人たちを迎え入れ、地域に欠かせない存在となっている『たけた駅前ホステルcue』。1年半が過ぎた頃、堀場家に待望の長男が誕生した。
「息子は、私たちが住んでる地域で15年ぶりの赤ちゃんだったそうで、みなさん喜んでくれましたし、すごく可愛がってくれて。息子が大声で泣いても〝元気な証拠やね〟って笑ってくれるし、顔をしかめる人もいない。〝地域の宝やけん〟って言ってもらえたのは、すごく嬉しかったですね」。

息子が生まれたことで、より一層地域との繋がりが深まったというさくらさん。子どもの成長を喜んでくれる地域の方々の存在は大きい。

受け入れてくれるコミュニティがあること。これだけで暮らしの魅力は増幅する。さくらさんは今、地域の中で子育てをすることの良さを改めて噛み締めていた。
移住して5年。ゲストハウスを開業して、子どもが生まれて。環境の変化も、多くの方に支えられながら乗り越えてきた堀場さん家族。地域の人たちや旅人たち、たくさんの人たちと笑顔で繋がる日々は、陽だまりのような心地よさが満ちていた。

古材を活用した暖かみのある宿は、クラウドファンディングで資金を集め、仲間たちと一緒に改築。

コミュニティがあるという心強さ

「ちょっと歩けば知り合いに会うし、車で5~10分圏内に全てのことが凝縮されているコンパクトな街が、すごく暮らしやすいんですよね」と竹田市で生活する魅力を話すさくらさん。移住支援に力を入れている竹田市は、地域おこし協力隊を数多く受け入れてきた。そのため、堀場さんが協力隊として移住してきたときには、協力隊の仲間が18人もいたそうだ。

ゲストハウスの1階にはパン屋「かどぱん」が。竹田市に移住し、地域おこし協力隊として働いていたスタッフが勤務している。

「誰も知らない土地に移り住んだときに、すでに仲間がいる、というのはすごく安心感がありました。それに、移住者が多いまちだったので、みんなが“こういう人もいるよ” といろんな方を紹介してくれて。とても入り込みやすかったです」
東日本大震災が起きてから、暮らしを見つめ直すようになった堀場夫妻は「地域の人とのコミュニティがしっかりとあり、なんでも相談できる仲間がすぐそばにいる環境が、すごく心強い」と感じているのだとか。
移住してから「以前よりもっと、未来について考えるようになった」と語るさくらさん。これからはこの街で「子どもたちのために何かできたら」と、地方で生み出す、新たな未来を画策中だ。

移住した人Local Person

堀場 さくらさん

福岡県出身/Iターン/ゲストハウス経営

福岡県で小学校教諭を勤めたのち、結婚を機に夫の地元である千葉県に移住。2014年から夫婦で竹田市の地域おこし協力隊に着任し、教育関係の事業に従事。任期中の2017年に、古民家をリノベーションしたゲストハウスをJR豊後竹田駅のそばにオープン。1児の母。

たけた駅前ホステル cue
城下町の古民家ゲストハウス

JR豊後竹田駅から徒歩約2分に位置する、築80年の古民家を改築して生まれたゲストハウス。

大分県竹田市大字竹田町560-1

TEL:0974-63-0179

竹田の暮らしマップLocal Map

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